能動的縫製職人への道

普通大学卒の素人が販売員・縫製工場での勤務を経てアパレルOEMで働きながら服作りを学ぶ過程と地方の縫製工場の現状などを綴っていきます。

縫製工場が生き残っていくには…

こんな大それたタイトルを工場入社3年の未熟者があくまで主観で綴ります。

 

私が勤める縫製工場は、正直言って長く続けたい労働環境ではありません。

 

責任者や男性社員など一部の社員への負担が大きく、サービス残業がなかなかなくなりません。

 

その原因の1つに人材不足が挙げられると思います。

 

縫製業全体の課題だと思いますが、縫い子さんの平均年齢はとても高く、若い人材が不足しています。

 

更に、その原因はというと低賃金と、仕事内容や職場環境の情報不足だと思います。

 

 

低賃金。

 

安い給料の職場にわざわざ入ろうと思う人は少ないですよね。

 

おそらく、大抵の縫製工場は総支給で月15万くらいがいいところなんじゃないでしょうか。

 

稼働日数が少ない月は手取り10万を切ることもある。

 

田舎暮らしで実家通いならなんとかなる給料かもしれませんが、アパートを借りて家賃を払いながら1人暮らしとなるとかなり厳しい生活を送らなくてはなりません。

 

では、賃金を上げるために何をしたらいいか。

 

高工賃大ロットの仕事を受ける。

 

会社の売上が上がれば社員に払える給料も増えますよね。

 

でもそれが難しい。

 

メーカーは経費削減のため、パタンナーさえもたないところも多く、商社やOEMに仕事を丸投げします。

 

そこから工場に仕事が回ってくる訳です。(ここから更に振り屋を挟む場合もあります。)

 

こんなに中継が多くては搾取ばかりで工場の取り分は減る一方です。

 

更に、多品種少ロット化が進む昨今において、大きいロットの仕事だけを受けることなんて無理に等しいわけです。

 

ならば、せめて工賃だけでも高くしたい。

 

となれば中間の排除。

 

メーカーとの間に商社を挟むことは、支払いトラブルを回避できるメリットもありますし、表地の発注まで工場がするというのはなかなか難しいのかもしれません。(が、難しいだけで将来的には生地背景を縫製工場が持つこともありかもしれませんね。)

 

また、ほとんどのメーカーがパターンを外注に出すわけですから、パターン作成とグレーディングを内製化できれば、その分高い工賃を確保できます。

 

 

 

私が人材不足の原因に挙げたもう一つが、仕事内容や職場環境の情報不足です。

 

地方の縫製工場で働いてる人の中で、ファッションが好きだから、洋服が好きだからという理由で職場を選んだ人は恐らく1割程度でしょう。

 

洋服が好きで服飾の専門学校に入った学生の就職先の選択肢の中に縫製工場はあるでしょうか。

 

デザイナー、パタンナー、MD、スタイリスト、販売員…。

 

たぶんないんです。

 

縫製工場って、あくまでも工場であって、そこに就職するってことは工場の作業員になるってイメージしか出来ないと思います。

 

そこにクリエイティブな仕事がどれだけあるか。

 

メーカーと1stサンプルから試行錯誤を繰り返し、量産に入るまでアイデアを出し合ってものづくりをしていく過程があるということ。

 

難しいデザインや素材に対応するため、裁断、縫製、プレスそれぞれの工程において、道具選びや機械の調整、手の動かし方など、いくつもの工夫の上に製品が出来上がっているということ。

 

彼らは知りません。

 

例え賃金が多少低くても「大好きなブランドのものづくりに携われる」とか「手に職がつけられる」といった魅力があれば働きたいと思う人もいるはずです。

 

その為にも工場は専門学校を訪問したり、ホームページやSNSを通して学生に面白い仕事があるよってアピールする必要があると思うんです。

 

 

メイドインジャパンの世界からの信頼がなくならないうちに、なんとか真の日本のものづくりを維持・再興させたい、そう思うんです。