能動的縫製職人への道

普通大学卒の素人が販売員・縫製工場での勤務を経てアパレルOEMで働きながら服作りを学ぶ過程と地方の縫製工場の現状などを綴っていきます。

縫製工場のクラウドファンディング活用を考える。

ご無沙汰しております。

 

先日、会社で「抗菌グローブ」という接触感染予防のための手袋を作り、クラウドファンディングサイトのMakuakeを利用して受注販売をしました。

 

抗菌消臭素材を使用したミトンタイプの手袋で、電車の吊り革や手すり、お店の手動扉など、直接触りたくない時に着用することで接触感染のリスクを下げる効果があります。

 

気になる方は下記URLからご覧下さい

https://www.makuake.com/project/peacebridge/

 

目標金額20万円で、達成率104%という結果でした。

 

昨今の状況下において、かなり的を射たアイテムかと思っていましたが、打ち出し方が勉強不足だったこともあり、平凡な結果となってしまいました。

 

今回の結果に学び、Instagramを猛勉強しようと思った訳です。

 

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まだ、半分ぐらいまでしか読んでいませんが、投稿頻度やハッシュタグのフル活用、インスタキャンペーンなど、フォロワーを増やし、ビジネスに繋げるノウハウが沢山書かれています。

 

抗菌グローブの第二弾はInstagramを武器に、前回の10倍の応援購入金額を目指します。

 

 

多くのブランドがコロナのパンデミックによってAWの展示会を開けなかったり、発注数を減らしたりしています。

 

そんな中、縫製工場を稼働させ続けるためにはメーカーの発注に頼らない攻めの展開が必要です。

 

布マスクや防護服の生産も直ぐに限界がやってくるでしょう。

 

そこでクラウドファンディングです。

 

クラウドファンディングとは言っても、資金集めのためのそれではありません。

 

テストマーケティング兼受注販売を目的としたクラウドファンディングサイトの利用です。

 

そんなとっくの昔からやってるよって方も多いかもしれませんが、私はコロナになってから真剣に考え始めました。

 

支援者の共感を得そうなアイデアを基にサンプルを作成し、サイトに掲載して応援購入者を募ります。

 

クラウドファンディングのプロジェクト期間は1〜3ヵ月が一般的で、プロジェクト期間終了後に生産を開始し、生産完了次第リターン商品として支援者の方々に発送します。

 

私が利用したMakuakeにはAll or Nothing型とAll in型の2タイプがあり、目標金額に達成しなかった場合プロジェクト自体が白紙になる前者と、目標達成率にかかわらず支援者が集まった分だけ生産する後者とがありました。

 

生産体制が整っている場合はAll in、プロジェクトの実行に大掛かりな予算が必要な場合はAll or Nothingでしょうか。

 

縫製工場がクラウドファンディングに取り組む場合、All or Nothing型を選び、支援額が目標に到達したら企画を実行させてくださいと会社に投げかけるのも良いかもしれません。

 

 

縫製工場内には少なからずファッションが好きな人がいます。自分がデザインしたモノを世に出したいと野望を持っている人もいるのではないでしょうか?

 

ファクトリーブランドを立ち上げようと考えたことはあっても予算や市場の確保に目処が立たず断念した工場も多いはずです。

 

そんな人達にクラウドファンディングを利用してアイデアを形にし、メーカーの発注に頼らない工場の永続的稼働に繋げて欲しいと心から思います。

 

 

 

「能動的縫製職人への道」と題してブログを始めておいてOEMに転職してしまった私ですが、ほぼ毎日、自宅のミシンに向かっていますよ!

 

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これが直近で作ったマスクです。

アクが強いデザインですが、割と好評です笑

 

次回はマスクについて書こうかと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございます!

 

転職してもうすぐ3カ月

都内のoemに転職してもうすぐ3カ月が経とうとしています。

 

簡単に言えば、メーカーからもらった仕事を工場に振る仕事です。

 

生地を仕入れて製品売りしたり、生地がメーカー支給の場合は縫製工場の工賃にマージンを乗せたり、搾取する事で稼ぐ仕事です。

 

まだ、始めたばかりの仕事ですが、自分の存在意義を見出せていません。

 

縫製工場出身ですから工場の意見は100%通してあげたい。

 

でも、メーカーの言いたいことも分かる。

 

両者の納得する着地点を見つけて、サンプルから量産の納品までもっていく。

 

バランサーのような仕事なのでしょうか。

 

生地提案から一緒に取り組ませてもらった製品は物作りに参加している実感がありますが、縫製のみの工賃仕事ではその実感は味わえません。

 

新規メーカーの開拓や、新たな企画の提案などを通して自分の存在意義を見出していきたいと思います。

転職・引越し

昨年末に福島から埼玉に引越しました。

 

4年勤めた縫製工場を辞め、都内のOEMに就職しました。

 

転職先も国内に自社工場が2つあるため、今後も物作りの現場に寄り添いながら仕事がしていけそうです。

 

今度の会社はカットソーがメインのため、布帛工場出の私は知らないことばかりですが、新しい知識を身につけるのはとても楽しい作業です。

 

営業職となると新規開拓のため、外回りが多い仕事ですが、早く固定客を獲得して、工場側のインフラ整備等にも仕事の幅を広げていきたいと思っています。

 

現状、自社工場のラインスケジュールを把握する術が、工場長に電話することぐらいしかないため、ユカ&アルファのファクトリーマネージャーWEBを導入できないか提案中です。

 

これからも、自分がいる場所から、国内の縫製業を盛り上げるために出来ることを見つけて、少しずつ実行していこうと思います。

続・縫製工場が生き残っていくには…

三日坊主になるまいと誓ったブログですが、既にそんな感じになってしまった今日この頃。更新です。

 

以前のブログで縫製工場が生き残る為に必要なことの一つに人材の確保を挙げました。

 

最近これやってみたらいいんじゃない?って思い浮かんだことがあります。

 

縫製工場がどんな仕事をしてる職場なのかって情報が洋服に興味がある若い人たちに届いていない現状を打開する方法の一つとして、縫製しているブランドを公開するっていうのはどうなんでしょう。

 

もちろん勝手に公開できないので、メーカーの協力が必要ですが、大好きなブランドを縫製している工場が実は地元にあったなんてことが起こり得ますよね。

 

なんとなーく、業界のタブーとされてきたことなんでしょう。ファクトリエの山田さんの本にも書いてました。

 

セレクトショップに行けば、日本製ってタグの服は結構見かけるのに、それがどこの工場で作られてるかなんて消費者には知り得ない情報ですよね。

 

野菜だとか、工芸品だとか、作り手の顔が見える売り方をしているものは沢山あるんだから、洋服も出来ますよね!

 

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話変わっちゃいますが、作ったんでよ。これ。

 

アタリ防止用のアイロンカバー。

 

直接生地にアイロンを当てちゃうとテカっちゃったり、蒸気で水染みができちゃったりするのを防止するためのやつです。

 

こういうちょっとした縫製工場あるあるを発信するだけでも、消費者の商品への愛着に繋がったり、服作りに興味がある若者の好奇心をくすぐったりすると思うんですよね!

 

縫製工場が生き残っていくには…

こんな大それたタイトルを工場入社3年の未熟者があくまで主観で綴ります。

 

私が勤める縫製工場は、正直言って長く続けたい労働環境ではありません。

 

責任者や男性社員など一部の社員への負担が大きく、サービス残業がなかなかなくなりません。

 

その原因の1つに人材不足が挙げられると思います。

 

縫製業全体の課題だと思いますが、縫い子さんの平均年齢はとても高く、若い人材が不足しています。

 

更に、その原因はというと低賃金と、仕事内容や職場環境の情報不足だと思います。

 

 

低賃金。

 

安い給料の職場にわざわざ入ろうと思う人は少ないですよね。

 

おそらく、大抵の縫製工場は総支給で月15万くらいがいいところなんじゃないでしょうか。

 

稼働日数が少ない月は手取り10万を切ることもある。

 

田舎暮らしで実家通いならなんとかなる給料かもしれませんが、アパートを借りて家賃を払いながら1人暮らしとなるとかなり厳しい生活を送らなくてはなりません。

 

では、賃金を上げるために何をしたらいいか。

 

高工賃大ロットの仕事を受ける。

 

会社の売上が上がれば社員に払える給料も増えますよね。

 

でもそれが難しい。

 

メーカーは経費削減のため、パタンナーさえもたないところも多く、商社やOEMに仕事を丸投げします。

 

そこから工場に仕事が回ってくる訳です。(ここから更に振り屋を挟む場合もあります。)

 

こんなに中継が多くては搾取ばかりで工場の取り分は減る一方です。

 

更に、多品種少ロット化が進む昨今において、大きいロットの仕事だけを受けることなんて無理に等しいわけです。

 

ならば、せめて工賃だけでも高くしたい。

 

となれば中間の排除。

 

メーカーとの間に商社を挟むことは、支払いトラブルを回避できるメリットもありますし、表地の発注まで工場がするというのはなかなか難しいのかもしれません。(が、難しいだけで将来的には生地背景を縫製工場が持つこともありかもしれませんね。)

 

また、ほとんどのメーカーがパターンを外注に出すわけですから、パターン作成とグレーディングを内製化できれば、その分高い工賃を確保できます。

 

 

 

私が人材不足の原因に挙げたもう一つが、仕事内容や職場環境の情報不足です。

 

地方の縫製工場で働いてる人の中で、ファッションが好きだから、洋服が好きだからという理由で職場を選んだ人は恐らく1割程度でしょう。

 

洋服が好きで服飾の専門学校に入った学生の就職先の選択肢の中に縫製工場はあるでしょうか。

 

デザイナー、パタンナー、MD、スタイリスト、販売員…。

 

たぶんないんです。

 

縫製工場って、あくまでも工場であって、そこに就職するってことは工場の作業員になるってイメージしか出来ないと思います。

 

そこにクリエイティブな仕事がどれだけあるか。

 

メーカーと1stサンプルから試行錯誤を繰り返し、量産に入るまでアイデアを出し合ってものづくりをしていく過程があるということ。

 

難しいデザインや素材に対応するため、裁断、縫製、プレスそれぞれの工程において、道具選びや機械の調整、手の動かし方など、いくつもの工夫の上に製品が出来上がっているということ。

 

彼らは知りません。

 

例え賃金が多少低くても「大好きなブランドのものづくりに携われる」とか「手に職がつけられる」といった魅力があれば働きたいと思う人もいるはずです。

 

その為にも工場は専門学校を訪問したり、ホームページやSNSを通して学生に面白い仕事があるよってアピールする必要があると思うんです。

 

 

メイドインジャパンの世界からの信頼がなくならないうちに、なんとか真の日本のものづくりを維持・再興させたい、そう思うんです。

 

属工対策

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芯地と裏地の在庫整理をしました。

 

属工と言って、メーカーからは表地のみの支給、芯地や裏地は工場手配の場合、少しでも利益を出す為に縫製工場は芯地や裏地の在庫管理を徹底しなければなりません。

 

メインの取引先が決まっていれば同じような芯地を使う頻度が高いため、前回のアイテムで発注した芯地が残っていれば、今回発注する芯地の量を減らすことができ、その分コストが削減できるというわけです。

 

そのためには徹底した在庫管理が必要という訳です。

 

今回はたまたま原反の入荷遅れ等で裁断の手が空いたため、大々的に整理することができましたが、日々の在庫管理と整理整頓が如何に大切かということをしみじみ感じました。

 

更に言えば、社員の手が空いてしまうような事がないように、ルーズな体質のメーカーを避け、キッチリした生産管理のもと、ある程度のロットをだしてくれる新規の取引先を開拓しなければとも思いました。

 

はぁ〜、一週間お疲れ様でした。